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Information & Column
シラカンバ花粉症を持っている方で、果物を食べると唇や口の中、のどなどがかゆくなったり、腫れたりする口腔アレルギー症候群になる方が約50%弱いらっしゃいます。原因となる食物は、バラ科のリンゴ、ナシ、モモ、サクランボなどが主ですが、プラム、メロン、スイカ、アンズ、バナナ、キウイ、ビワ、アボガドなどの他の果物、ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルミ、ピーナッツなどのナッツ類、セロリー、ナス、ニンジン、ジャガイモ、キュウリ、トマトなどの野菜のこともあります。患者さんの80%近くは複数の原因食物を持っていて、次第に数が増えていきます。治療は、原因食物を食べないこと(抗原回避)や薬物治療が主体です。急性期にはショックに準じた治療が要求されます。抗アレルギー薬を長期間持続投与で食べられるようになる方もいます。このところ医療現場で注目されてきているのが、天然ゴムによるアレルギーであるラテックスアレルギーです。赤ちゃんの時のおしゃぶりなどでラテックス抗原に感作されていると、ラテックスの入った手術用の手袋、台所用手袋などが皮膚に触れただけで発赤、痒み、腫脹等の軽度な症状から急激な血圧低下を伴うショックにいたる重篤な症状まで起こることがあります。歯科医院で口を触られた瞬間、ショックを起こしたり、救急外来で運ばれて手袋をはいた手で触られた瞬間、血圧が低下したりすることがあります。歯科医がはく手袋や一般的な手術用手袋、点滴の管の一部、注射液のゴムキャップ、麻酔のマスクなどなど、医療現場ではラテックスの入った製品がたくさんあります。そのため、ラテックスアレルギーがある人はあらかじめ皮膚にラテックスを貼って検査をする必要があります。そのような方の中に、クリ、アボカド、キウイ、マンゴ、バナナなどで口腔アレルギー症候群に似た症状を起こす方がいます。これをラテックス・フルーツ症候群といっています。バラ科の果実は加熱処理によって抗原性を失うものが多いのですが、この症候群の原因食物であるクリ等は調理されても抗原性は失われません。重篤な症状になることが多いので注意が必要な疾患です。ゴムを触ると痒くなるのは単なる接触性皮膚炎のこともありますが、ご心配の方は診察にいらして下さい。