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Information & Column
鼻アレルギーの主症状はくしゃみ、鼻水、鼻つまりです。現在、各製薬会社からたくさんのアレルギー治療薬がでていますので、アレルギーの専門医が、症状に合わせて、局所(鼻、咽喉、眼など)を観察しながら適切な薬を処方すれば、かなりの症状の改善が得られることが多くなってきました。しかし、鼻つまりは、なかなか改善しにくく、最終的には手術的な治療が必要となります。特に、自己判断で売薬の噴霧剤を長期間にわたって使用していたり、漫然と薬を飲んでいたりすると鼻粘膜が腫脹した(はれた)まま元に戻らなくなってしまいます。鼻のアレルギーに対する今までの手術治療は、主に腫れている粘膜を削り取ったり、粘膜の下の骨を取ったりする手術が一般的で、鼻の中の空間を広げるのが目的でした。
これらの手術には、約7-10日位の入院治療が必要で、その後も鼻の中に痂皮(かさぶた)がたくさんつくため、外来で術後の処置にしばらく通院しなければなりません。粘膜を切除しすぎるとアレルギーの症状はなくなっても、逆に鼻の中が乾燥しすぎたり、痂皮がとれないこともあります。鼻内レーザー治療は外来で局所麻酔下にできるために、入院の必要がなく、時間的にも経済的にも有利です。また、術後の処置も今までの手術に比べ短くてすみ、術後の通院期間も短縮されました。当院開設以来現在まで3446例以上を行っていますが、治療効果は良好で、患者さんの満足度も良いようです。
この治療は、レーザー光で鼻の粘膜を薄く飛ばして(蒸散して)アレルギーの反応の場を減らすものです。入院の必要もなく、従来の手術(入院して鼻の粘膜を切除する手術:下甲介粘膜広汎切除術)に比べて手術後の粘膜の回復も良いようです。鼻血を止める時と同じように麻酔のガーゼを鼻に入れるのが耐えられれば、ほとんど疼痛がなく手術が受けられますので、小学校高学年以上ならば手術可能と思われます。時に、鼻つまりばかりでなく他の症状(くしゃみ、鼻水)も良くなることが多いようです。
私の使っている器械(CO2レーザー)は、エネルギーが水に吸収されるので、粘膜にレーザー光を当てても20ミクロン程度の深さまでしか蒸散しません(焼けません)。そのため、アレルギーの反応の場である粘膜表層と、症状をひき起こす反射経路の求心路である三叉神経の終末を選択的に焼くことになります。そのため鼻つまりばかりでなく、くしゃみや鼻水の症状も軽くなるのです。また、粘液を作りだす粘液腺を破壊しないので粘膜の潤いが著しく阻害されません。そのため手術後の粘膜の回復も早く、手術後の後遺症(鼻の乾燥感や違和感)もあまり起こりません。手術の適応は、鼻つまりだけではなく、薬を長期間に渡り服用したくない人や薬を服用できない人(病気や妊娠など)にも有効です。手術は症状や鼻つまりの程度によって1回から3回くらいに分けてすることもあります。手術後に鼻つまりが再び起こっても何回でも手術できますので、あきらめる必要はありません。手術直後は症状の一時的な増強がありますが、2週間くらいででおちついてきます。
花粉症を含めた鼻アレルギーの症状で悩んでいる人々の治療を進めるとき、耳鼻咽喉科医ができる手術的治療の中で最良の方法と思われます。特に鼻つまりや他の症状で苦しんでいる患者さんへの福音となる治療の一つですので、是非御相談ください。
このレーザー治療の特徴は以下の通りです。