診療予約

Information & Column

コラム
お知らせ

アレルギーに関するコラム
果物を食べると口がかゆくなりませんか? その2

先週からお話ししているシラカンバ花粉症の患者さんに多く見られる口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome=OAS)についてもう少し詳しくお話ししましょう。一般的な症状は、果物や野菜を食べると口や唇、咽喉がかゆくなったり、腫れたりすることです。ひどければ、吐き気や嘔吐、咽喉頭の粘膜が腫れて呼吸が苦しくなっりすることがあります。腹痛、下痢などの消化器症状が出現したり、もっとひどければ、喘息発作を誘発したり、全身の蕁麻疹やアナフィラキシーショックを起こすこともあります。ただ口や咽喉がかゆいだけならば良いのですが、症例によっては生死の問題になることもあります。診断は、問診によってわかることが多いのですが、血中の抗原特異的なIgE抗体を調べる方法もあります。その他の診断法は、鼻アレルギーや喘息とは事なり、まだ確立していないようです。発症機序は、IgEを介した即時型アレルギー反応が大部分といわれていますが、IgG抗体を介した反応や単なる刺激で起こることもあるようです。原因となる果実は、リンゴ、ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ビワ、イチゴ、ミカン、オレンジ、メロン、スイカ、バナナ、キウイ、マンゴ、アボガド、イチジク、カキ、ブドウ、クリ、グレープフルーツなどです。野菜は、セロリ、キュウリ、トマト、ナス、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、ヤマイモ、パセリ、タマネギ、ニンニク、タケノコ、フキ、フェンネルなどが知られています。その他には、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、クルミ、アーモンド、ココナッツなどの木の実があります。大体、患者さんは複数の原因を持っているようです。治療は、抗原を遠ざける(抗原回避)事や薬物治療が主体です。急性期にはショックに準じた治療が要求されます。予防的な意味での抗アレルギー薬を長期間持続投与することもあります。シラカンバ抗原エキスをうすめたものを皮下に注射する減感作療法が欧米ではさかんで、花粉症とともにOASにも効果があるといわれています。日本では、まだ抗原エキスが製造されていないためできませんが、将来的にはバイオテクノロジーを利用して副作用の少ない減感作療法が可能になると思われます。