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Information & Column
すずらんが咲き、ライラックの香りが鼻をくすぐった6月が過ぎ、やっと暖かい日が続く季節になりました。道端や空き地をみると雑草が青青と背丈を伸ばし花を咲かせています。先端の部分を振ると煙みたいなものが空中に放たれます。これが何万個という数の花粉です。イネ科花粉で代表される夏の草による花粉症は生活空間に密着しているために意外と多いものです。都会では宅地化が進んだため空き地が減り、また歩道の舗装により雑草の植生する範囲が少なくなったために患者数が減少しているようです。でも旭川市内にはまだまだ雑草がたくさん見られます。イネ科花粉症の代表はカモガヤ(オーチャードグラス)やオオアワガエリ(チモシーグラス)です。名前をいわれてもピンと来ないかも知れませんが、実物をみれば誰でも子供の頃に見て触った、その辺にあった草というのがわかります。つまり花粉症になりやすい人(アレルギー素因を持っている人)が、長年にわたり身近な草の花粉にさらされていれば、この季節に花粉症になってもおかしくないのです。幼稚園の時には良く野原で遊び、小学校に入ってからは塾や習い事に忙しくて外で遊ぶ暇がなかった子供の中で、遠足や川原にあそびに行った後からきゅうに眼が真っ赤に腫れ、くしゃみ、鼻水じょろじょろという子がいます。このようなお子さんは夏の草による花粉症が疑われますので適切な治療が必要です。特に、顔が真っ赤に腫れ、声も太く変わってきたり、息苦しくなってきたときは、声門(気道で一番狭い声帯のところ)の浮腫を起こしていることがあり、気道閉塞(窒息)を起こす危険があるので要注意です。また、イネ科をはじめ一般的に雑草と呼ばれる草は全国的に分布しています。そのため本州から転居してきて1年も経たないのに、本州にいるときは3から5月にあった花粉症の症状がこちらでは6から7月に症状がでてくる人がいます。本州にいるときに草の花粉によって作られた抗体(抗原特異的IgE抗体)に旭川にある同じような草の花粉抗原がくっついて症状を起こすのです。治療はできるだけ花粉に近づかないこと(抗原回避)です。外出するときはメガネ、マスクで防備し、外出後はシャワーを浴び、衣服を取り替えるくらいの自己防衛手段が必要です。もちろん専門医による適切な治療が必要ですので心当りのある方は是非ご相談下さい。