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浸出性中耳炎について

 前回お話しした耳管機能がおかしい時に、鼓膜の奥(中耳腔)に浸出液が貯まる中耳炎についてお話します。鼓膜が一番震え易いのは鼓膜の外と内(中耳腔)の気圧が同じに保たれている時です。その外界との気圧の変化を調節しているのが、前回お話しした耳管(じかん)です。普段は物を噛んだり、飲み込んだり、あくびをした時に耳管が開き、中耳腔内への空気の出し入れと中耳腔内の粘膜から産生された貯留液の排泄をしています。この機能がうまく働かなくなった時の病気のひとつが浸出性中耳炎です。アレルギー体質の方では、耳の痛い急性中耳炎の後、中耳腔内の細菌やウイルスなどとの炎症産物に対してアレルギー反応がおきて、異常に滲出液が増加することによって起こります。また、耳管の周りに炎症やアレルギー反応が起きて耳管周囲の扁桃組織(耳管扁桃)が腫脹し、耳管を塞(ふさ)いでしまうことでも起こります。中耳腔内に貯留液が貯まり、鼓膜が震えにくくなるため、徐々に耳閉感、軽い耳痛、難聴、耳鳴、自声強調(自分の声が大きく聞こえること)などが起こります。アレルギーを持っているお子さんが、呼んでも返事をしなくなったり、大声になったり、テレビの音を大きくしたり、近寄っていったりする時は要注意です。治療は、鼻と咽喉のアレルギー反応を抑さえる治療が基本です。アレルギーに対する内服薬や貯留粘液に対する内服薬と鼻内噴霧剤などで治療します。貯留液がたくさん貯まっている時や、中耳炎を繰り返す時には鼓膜に穴を開ける鼓膜切開術を外来でします。長期化する場合には、鼓膜に小さな管を入れる手術(中耳腔内チューブ留置術)をします。大人には外来でできますが、小さなお子さんには全身麻酔をかけて、痛くない状態で、鼓膜切開と中耳腔内チューブ留置術を行ないます。日帰り手術または症例によっては1泊手術になります。同時に扁桃腺摘出術や耳管閉塞の原因となるアデノイド切除術などを行なうと1週間くらいの入院になります。早ければ乳幼児から発症することがあり、小学校に入る前後くらいまで繰り返すことが多いので、定期的な観察や長期的な治療が必要です。耳を痛がらないのに聞こえが悪いような時は、早めに耳鼻咽喉科専門医に御相談ください。