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急性中耳炎について

 夜が寒いせいなのか、疲れがでてきているのか、このところ、急に耳が痛くなり、高い熱がでる急性中耳炎の患者さんがよく来られます。大人子供の区別はなく、何日かの風邪様の症状が続いた後に起こるケースが多いようです。この急性中耳炎を分類すると、最も多い細菌感染による急性化膿性中耳炎や、ウイルス性中耳炎、壊死性中耳炎などがあります。子供では2-3時間で中耳腔(鼓膜の奥の空間)内の急性変化が起こるので油断ができません。原因は、咽喉の急性炎症が直接耳管を通り中耳腔へ及ぶことが多いようです。耳痛は、中耳腔粘膜が細菌やウイルスの感染で発赤腫脹し、中耳腔とのど(上咽頭)をつないでいる耳管が詰まり、中耳腔内の圧力が急に上昇するために起こります。炎症が進むと膿が中耳腔内に貯まりさらに内圧を高めるので痛みや熱はピークに達します。鼓膜を外から観察すると、最初は赤いだけですが、次第に鼓膜が外側に薄くなって膨らんできます。膿汁が貯まると赤い中に膿汁の黄白色が見えるようになります。さらに進むと、パンパンに腫れた鼓膜が自然に破れ膿が耳だれとなって外に出ます。すると、痛みがウソのように軽減されます。これは、炎症はまだありますが、中耳腔の圧力が軽減するためです。そこで耳痛がひどい時や熱が下がらない時に、私共耳鼻咽喉科医が鼓膜に小さな穴をあける治療(鼓膜切開)をすることがあります。できるだけ痛みを軽くするために鼓膜の麻酔をしてから鼓膜切開をしますが、中耳腔内の炎症がひどいと鼓膜の外からの麻酔は効きずらいことがあります。鼓膜を切開する時には痛みがあるので、「中耳炎で痛がっている我が子にさらに痛みを加えるとは何事だ!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、痛みをとり、治すための治療手段なのでご理解ください。「鼓膜切開をするとくせになるのでは?」と、よく聞かれますが、そのお子さんの咽喉から耳にかけての構造が、炎症を起こしやすいために繰り返すので、鼓膜切開によるものではありません。急性中耳炎はお子さんに多い病気ですが、大人の方でもかかります。適切な治療をしないと、とんでもない合併症を起こしますので、耳が痛い時には、ひどくなる前に、私どもの診察治療を受けることをお勧めします。