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耳に関するコラム
耳の痛い話

 今年の春の花粉症(特にシラカンバ花粉症)は花粉飛散量も多く症状がひどいようです。花粉飛散の観察は14年前から私共のグループが行っていましたが、ようやく今年度から道の衛生研究所(または保健所)でも観察を開始しました。札幌、函館、旭川、北見など道内各地からの情報を、私どもアレルギー専門医と連携をとりながら迅速に患者の方々に伝える方法を検討していきたいものです。シラカンバを代表とする樹木花粉はもう2から3週間で落ち着いてきますが、イネ科(カモガヤ、オオアワガエリなど)の草本花粉が飛び始めていますので、専門医による早めの治療をお進めします。さて、表題の「耳の痛い話」ですが、上司や親からの小言ではなく、このところ患者さんが多いように感じる急性中耳炎のお話です。分類すると細菌感染による急性化膿性中耳炎が最も多く、ウイルス性中耳炎、壊死性中耳炎などもあります。鼻アレルギーもその一因にはなりますが、4月中旬からの寒暖の差が激しかった天候により、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎などの上気道炎を起こしやすかったのが最大の理由のようです。お子さんに多いのですが、大人の方でもかかる方がいらっしゃいます。症状は耳痛が特徴で、発熱や上気道炎症状を伴うことが多く、ひどくなると聞こえが悪くなったり、耳だれが出てきたり、さらに炎症が悪化すると急性の乳突洞炎(耳の骨の炎症)を併発し、子供では髄膜炎をおこすこともあります。治療は、ひどくなければ、抗生物質を服用し、鼻や咽喉の炎症に体する治療も一緒にします。痛みが激しい、熱が下がらない、鼓膜がぱんぱんに腫れている、鼓膜の奥に膿が見えるなどのひどい症状の時には、鼓膜に小さな穴を開けて(鼓膜切開)、鼓膜の奥(鼓室内)の除圧と排膿をします。できるだけ痛みを少なくするために、耳に麻酔をしてからやりますが、炎症が強く麻酔が効きずらいこともあります。手遅れになると、かえって長引いたり、先ほど述べたような合併症を起こす可能性がぐんと増えますので、風邪をひいたり、耳が変だったり、耳が痛い時には、ひどくなる前に、私ども耳鼻咽喉科専門医の診察治療を受けるようにしてください。