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Information & Column
今月は「せき」のお話をします。口や鼻、その奥の喉頭や気管は、外界の空気が呼吸により直接、出入りするところです。そこは生体にとって不利益になるような病原体、ウイルス、異物などがいつも入り込んでくるので生体防御機能が、発達しています。鼻では、花粉などが侵入すると、くしゃみで吹きだし、鼻汁で洗い流し、鼻閉でそれ以上の侵入を防いでいます。それがひどくなったのが、鼻アレルギーです。咳は意識的に起こすことができますが、咽喉や気管に花粉などの異物が侵入することによっても、咳反射がおこります。これは、短く息を吸い込み、声門を閉鎖して内圧を高めて、次にいっきに声門を開くという一連の複合運動です。この咳によって侵入した異物は体外へ放出されます。咳反射は主に、喉頭、気管および気管支の粘膜に加えられた刺激によって誘発されますが、気管の分岐部やその奥の葉気管支ではとくに感受性が高いといわれています。原因は、異物に限らず、過剰な分泌物であったり、刺激性のガス、ほこり、タバコの煙や高濃度の二酸化炭素、極端に熱かったり、冷たかったりする空気などです。咳ほどひどくなくても、イガイガ感やエヘン虫が続くこともあります。肺を含めてた気道の疾患で咳という症状を訴える方は非常に多いのですが、その原因は一様ではありません。咳が出れば、まず、内科、特に呼吸器内科を受診され、治療を受けられる方が多いはずです。それでも止らない咳で私共の所へ来られる方が、このところ増えているように思われます。今年のように花粉の飛散が例年より多い年は、鼻の症状よりも、花粉による止らない咳を訴えて来られる方が多かったようです。咳は一度ですめば良いのですが、原因が引き続きあれば、咳も長く続くことになります。どなたでも、風邪をひいてひどい咳が長引くと、腹筋や肋間筋がいたくなり、体力の消耗を実感したことが何度もあるでしょう。咳が続けば、声帯にも無理がかかり、声帯がポリープ様に変化して、声がれ(嗄声)になってしまいます。息苦しさを自覚し、何でもいいから咳を止めて欲しくなるものです。しかし、原因がはっきりしなければ、咳を止めるのはなかなか難しいものです。次回は、止らない咳の原因をもっと詳しくお話しします。